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DR ABC
DR ABCとはABC先生の話ではない。
私は職業柄、救命活動のトレーニングを毎年受けなければならない。半日コースである。感電事故における救命活動を教わるわけだ。多分オーストラリアでは義務付けられているんだと思う。
ここで出てくるのがDR ABC。これは救命活動を行うときの順番を示している。

D: Danger 周りに救命活動の支障になる危険が無いか? 救助者の安全確保。
R: Response 被救助者の意識があるか確認する。
A: Airway 気道確保
B: Breathing 呼吸しているか?
C: CPR 心肺蘇生法を実施。

以上を覚えやすくまとめたわけだ。
これもしょっちゅう変化している。以前はDRはなかったと思う。さらに心拍を確認するっていうのも以前はあったが素人が緊急時に心拍確認をするのは現実的でないということから呼吸していなかったらいきなりCPRをおこないように変わった。CPRのやり方もよく変わる。今は2呼吸、30心臓マッサージ(2回/秒)を繰り返す。以前は心臓マッサージのレートはもっと低かった。
さらに最近ではDR ABCDになったようだ。最後のDはDefibrillator。除細動器である。
CPR訓練はダミーを使って行う。人間を使うことはできない。肋骨骨折の可能性があるからだ。

Dに関しては感電している被救助者には救助者の安全が確保されていない限り触れてはならない。ちなみに低電圧の感電事故の場合は被救助者は筋肉が硬直するため体を動かすことも声を出すこともできない。電気室で固まっている人がいて声を掛けても返事がないときはその人に触ってはいけないのだ。まずやるべきことは電源の遮断。最近では各制御盤にどの遮断機を落とせば電源を切れるか書いてあることが多い。当然作業前に確認しておくべきである。それが分からない場合、遮断できたか確かでない時は低電圧電気室に法律で設置が義務付けられている救助キットを使う。これは絶縁手袋と絶縁鈎棒のセットで救助者は絶縁手袋を付けて絶縁鈎棒で被救助者を引き剥がす。電源遮断もできず救助キットがない場合は以前は蹴りを入れて被救助者を引き離すという方法を教えていたが、今ではこの方法を教えることはなくなった。救助者にとって危険なのでやるべきではにということになったんだろう。

ここで電圧区分を説明しておくが業界用語ではなんと低電圧とはAC1000V未満120V以上のことである。なんで1000V近くが低電圧なの?って、ツッコミは入れないでもらいたい。IEC規格で決まっているので仕方がない。今は極低電圧、低電圧、高電圧の三種類になったようだが以前は中電圧、超高電圧とかもっといろいろあった。救助の時の判断を容易にするため簡素化されたようだ。極低電圧は感電しても問題ない、または防護具なしで救助可能。低電圧は防護具があれば救助可能。高電圧は防護具があっても遮断して回路を接地しない限り救助活動をしてはならない。

救命活動の手続きがしょっちゅう変わってるって言うのは、経験が素早く反映されてきているのだ。救助者の安全確保への重点の置き方が年々増してきている。二次災害を防ぐことの重要性が認識されてきたのだ。

最近、日本で踏切で人を救助したために亡くなった方がいた。痛ましい限りである。しかしネットで関連の記事を見ていても救助者の安全確保の重要性に関して述べているものは見かけなかった。救助を行った勇敢な方の行動を問題にしたくないと言う日本的情緒はわからんではないが、こと人命に関わることである。美談にするだけではこのような二次災害は減らない。私はどうしてマスコミ等が二次災害を防ぐための基本的救助手続きについて解説しないのか理解できない。
上記のDも多くの二次災害の経験をもとに強調されるようになってきたはずだ。学校で救命救助訓練を義務化するべきだと思う。ちなみにオーストラリアのクイーンズランド州では義務教育で救命救助訓練を行っているようだ。

当家ではかみさん以外全員、救命救助訓練を受けている。なんかあった時には安心である。

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テーマ:オーストラリア - ジャンル:海外情報

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